どうも、草場です。
今回は、ビジネスで成功している方がこぞってお勧めしている『てんびんの詩』という映画について解説していきます。
下手なビジネス本を読むくらいなら、この『てんびんの詩』を見た方がよっぽど”ビジネスやセールスの本質”を掴むことができます。その証拠に『てんびんの詩』は、企業研修や営業研修などでも頻繁に使われています。
ただ、デメリットとしては、このDVD・VHSの定価が3万円なんですね…。
僕は運良くセミナーに参加させてもらって、この「てんびんの詩」を見ることができました。(文句なしに素晴らしい映画だといえますし、自分の子供が大きくなったら見せたい映画Top3に入っています。)
ですので、映画を見ていない人も”セールスの本質”が理解できるように、映画のエッセンスをこの記事にまとめました。
この記事を読めば「セールスの本質」や「人の心を動かすコツ」が理解できるはずです。
それでは早速内容に入っていきましょう。
■目次
てんびんの詩ってどんな映画??
「てんびんの詩」は1988年にイエローハットの創業者である鍵山秀三郎さんの資金援助を得て作られた映画です。
イエローハットといえば、年商900億円を超える、東証一部上場の一流企業です。そんな企業の創始者が「私財を投じても伝えたいことがある」といって作られた映画がこの「てんびんの詩」です。
てんびんの詩は、全3部作になっています。僕は一番始めの『原点編』しか見ていないので分かりませんが、三部作全て見た方は、この『原点編』が一番おすすめだと言っていました。
そもそも、この映画は近江商人(おうみしょうにん)の話です。
近江商人とは、中世から江戸時代にかけて活動した近江国(滋賀県)出身の商人のことです。近江商人を表す言葉としては『三方良し(売り手によし、買い手によし、世間によし)」』が挙げられます。
実は、伊藤忠商事、丸紅、高島屋、ワコールといった大企業の創業者も”近江商人”なんです。
ですので、「てんびんの詩」を見ることで、成功するビジネスのエッセンスを吸収することができるでしょう。
てんびんの詩のあらすじと解説
近江の大きな商家に生まれた、主人公「近藤大作」が小学校を卒業したところから物語は始まります。
大きな商家に生まれた主人公の少年は、これまで何不自由の無い生活をしていました。
しかし、小学校を卒業したその日、商人である父から”鍋の蓋(ふた)”を手渡されます。
そして父はつづけて「この鍋蓋を売ってこい。それができなければ店を継がせることはできない!」と言いました。
この日から、少年の鍋蓋を売るための旅が始まります。
《《《ここから先はネタバレも含みます》》》
少年は乗り気ではありませんでしたが、しかたなく鍋蓋を売りにいくことにしました。
はじめは、自分の商店に出入りする”お得意さん”に目星をつけて、鍋蓋を売りつけようとします。「近藤家の息子だと言えば、きっと簡単に買ってくれるだろう」と思っていましたが、全く上手くいきません。
他のお得意さんにも鍋蓋を売ろうとしましたが、誰も買ってくれませんでした。
少年は「どうにかして鍋蓋を売ろう」と思い、色んな方法を試しました。
例えば、
このように色々試してみましたが、「鍋蓋」は全く売れません。
それもそのはずです。
少年は、相手の都合を1ミリも考えずに、自分の都合だけで鍋蓋を売ろうとしていたからです。
少年はいろんな経験を通して、
といったことを学んでいきました。
きっと映画を見た方は、ここまでは簡単に理解できたはずです。
しかし、この映画をそれだけで終わらせるにはもったいなさすぎます…
ここからは更に踏み込んで解説していきたいと思います。
てんびんの詩をさらに解説してみた!【其の一】
まず初めに、自分の商店を出入りしている、お得意さまに、鍋蓋を売りつけようとしたシーンです。
ここでは少年は「近藤家の跡取り息子だから買ってくれよ! 買わないと後で痛い目を見るぞ…」という感じでセールスしていました。
これって、「自分」や「商品」の魅力で鍋蓋を売ろうとしていないですよね?
完全に自分のラベル(地位、権力など自分に付随しているもの)を使って売ろうとしています。
こんなセールスをやっているなら、たとえ売れたとしても、結局『売り手』も幸せになることはできません。なぜならラベルに引き寄せられて買ってくれているお客さんは、そのラベルがなくなれば、買ってくれなくなるからです。
「最安値」を謳って販売すると、「最安値」というラベルに惹かれたお客さんがやってきます。
そうすると一時的には売上があがるかもしれませんが、他の会社がさらに安い金額を打ち出せば、お客さんが一気にいなくなってしまいます。
もちろん「最安値」というラベルでお客さんを集めて、商品やサービスのファンになってもらう作戦もあると思いますが、「最安値」というラベルに引き寄せられる”ほとんどの人”は、さらに安い商品やサービスが出れば、そちらに飛びついてしまうでしょう…
さらに現代は、ものが溢れており、差別化ポイント(USP)を作り出すことが難しくなってきています。
映画では鍋蓋を売っていましたが、これもある意味”差別化”がしにくい難しい商品ですよね?(この少年の父親は恐らく、そういったことも考慮して、あえて鍋蓋を選んだと思いますが、、、)
じゃあ、そんな差別化しにくい商品をどうやって売るのか?というと、答えは簡単です。
ストーリーを使うのです。唯一無二のストーリーであれば誰にも真似されることはありません。
今回の「てんびんの詩」でも少年はストーリーを使っていましたね。少年はおばちゃんに対して、これまで鍋蓋を売り歩く中で、どんな困難があって、どう成長したか?というストーリーを赤裸々に話しました。
その結果、おばちゃんはこのストーリーに感動して、鍋蓋を買ってあげようと思いました。
少年は自分がストーリーを売ったということは自覚していませんでしたが、おばちゃんは明らかにストーリーを買っていました。(鍋蓋はその”おまけ”みたいなもんです)
また大事なポイントとしては、先に少年がストーリーを語ってから、物が売れたということです。これはつまり、「ストーリーという価値」を先に提供しているということです。
よくビジネスでは「価値と価値の交換」って言われますが、まずはこっちが価値を提供することが重要なんです。
このように、このシーンだけで以下のエッセンスが詰まっていました。
てんびんの詩をさらに解説してみた!【其の二】
次に、少年が「お客さんに媚びて販売する」という手法を試したシーンです。
このシーンのちょっと前に、少年は『薬屋さん』がお客さんと信頼関係を気付きながら、流暢にセールスしている姿を見ます。
『薬屋さん』は相手と信頼関係を築くためにちょっとしたお世辞を言っていましたが、少年の頭に中には「お世辞を言う=売れる」という公式が作られてしまいました。
そして、少年は早速、お客さんにヘコヘコしてセールスをしてみましたが、「大人にナメた態度とりやがって!帰れ!」とお客さんから怒鳴られてしまいました…。
このシーンでは、上辺だけのテクニックを学ぶなということを伝えています。
「テクニック」は、一番”抽象度”が低いものなんです。
「テクニック」の抽象度を上げていくと、「コツ」になったり、「エッセンス」になります。そこからさらに抽象度を上げていくと「感覚」になります。
「コツ、エッセンス、感覚」というものをインストールせずに、うわべだけのテクニックを使った結果、このように失敗してしまったのです。
これは恋愛でも同じです。
よくある恋愛テクニックでLINEをすぐには返さないみたいなのがありますよね?
でも、そもそも相手が自分に興味なかったり、すぐに返信しなければいけないような重要なLINEを無視して焦らしたとしても、嫌われるだけです。
これはテクニックよりも抽象度の高い「コツ、エッセンス、感覚」をちゃんとインストールできていないので、上手くいかないのです。
このシーンではテクニック論に走るのではなく、
といったエッセンスを理解しなさいということを教えてくれています。
あ、あと、この映画も神話の法則に則って作られています。
神話の法則とは、『日常の世界から、冒険の世界に飛び込み、宝をたずさえて帰還』というストーリーの流れのことです。(超ざっくりw)
この映画での『宝』は”少年の成長”ですね。
また、これは少年の母親が成長する姿もサブストーリーとして展開されています。
鍋蓋を売る修行に苦しむ息子を見て、「やさしくしたい!でも息子が立派な商人になるために我慢しなきゃいけない…」という葛藤も描かれています。
祖母からも「今あの子に手を貸したらあかん。我慢するんや。子を育てるというのはつまり親の大修行やからなあ」と言われるシーンがありました。
ようするにこの映画では、
という2本のストーリーが入り混じっています。
母親のストーリーももちろん、”神話の法則”に則ってストーリーが展開されています。
神話の法則については『神話の法則/人を魅了する物語には”共通した秘密”とは?』という記事で詳しく解説しているので、是非チェックしてみてください。(「千と千尋の神隠し」のストーリーに沿って分かりやすく解説しています)
てんびんの詩をさらに解説してみた!【其の三】
映画の中で少年のモチベーションが大きく上がったときが2回ありました。
どのシーンでモチベーションが高まったかというと、「背景(過去)のストーリー」と「未来のストーリー」を感じることができた瞬間です。
モチベーションが上がったシーン1
全く鍋蓋が売れなかったので少年がふてくされていたシーンです。
そんな少年を見かねた姉が、
を教えてくれました。
すると少年は、「両親も自分と同じように辛い修行をしてきたんだ!」と背景(過去)のストーリーが分かった瞬間、目が輝きだしてやる気に満ち溢れました。
モチベーションが上がったシーン2
少年は、お客さんが使っている鍋蓋を気づかれないように捨てたら、買ってもらえるんじゃないか?と考えますが、あと一歩のところで踏みとどまりました。
そして少年はこんなことを言っていました。
「この鍋蓋も、わしみたいに苦労して売ったものだと考えたら、鍋蓋が愛しくなって、ついつい磨きたくなった。」
「これまで鍋蓋使う気持ちなんてちっとも考えなかった。でも、今はお客さんがこの鍋蓋をどんな風に使ってくれるか考えるようになった」
このとき、少年の目がキラキラして、過去の苦労を乗り越えてモチベーションがグンっと高まった感じがしました。
なぜなら少年は、
を感じることができていたからです。
この過去と未来のストーリーを感じることで、モチベーションが上がるということは、僕も経験したことがあります。
それは、僕が会社を辞めて、フリーランス&バイトをやっていた時代です。
工場のバイトを1週間だけやったのですが、これがめっちゃつまらないんですよね。笑
どんな作業をやっていたかというと、「日本で作られた食品」を海外に輸出するために、商品にラベルを貼ったり、箱詰めしたりする作業でした。
しかし、ある瞬間に「つまらない→面白い」と感じることができたんです。
それは、輸出用の「豆腐」にシールを貼って、箱詰めしているときに、「これらの商品は輸出先のイタリアやフランスのスーパーに陳列されて、海外の美食家たちが買って行ってオシャレに調理するんだろうな」ということを考えたんです。
そうしたら、不思議と今やっている”このつまらない作業”に価値を感じてきて、楽しくなってきたんですね。
このように、
ということを心がけるだけで、やる気も全く変わってくるし、自分自身の影響力も大きくなります。
てんびんの詩の名言集
ここからは「てんびんの詩」の名言を少し紹介して行きます。
ちょっと名言が多すぎて、すべて思い出せませんが、覚えている範囲で紹介しますね。
「商売はこのてんびん棒みたいや。売り手と買い手のどっちが重とうてもうまくいかん。双方がひとつになったときに商売が成り立つんや。」
この言葉は少年が鍋蓋を売ろうと色々と試行錯誤しますが、全く売れないときに父親がかけてくれた言葉です。
「明日の覚悟は、覚悟じゃない」
これは、少年が徹夜で歩いて家に帰ったとき、「覚悟が決まったけど、眠いから一旦寝てから明日から頑張る」といったときに、母親が叱咤激励したときの言葉です。
よく似た言葉で「明日やろうは馬鹿野郎」なんて言葉もありますね。
まとめ
ちょっと、伝えたいことが多すぎて、あまりまとまりがない記事になりましたが、これまでの内容をまとめるとこのようになります。
などなど。
本当にビジネスのエッセンスが要所要所に盛り込まれているので、是非見てみてみることをおすすめします。
それでは今日はこの辺で失礼します。