4つのP(製品、価格、場所、宣伝)に取り掛かる前に、何よりも重要なステップ。
それこそがポジショニングである。
(「近代マーケティングの父」フィリップ・コトラー)
どうも草場です。
今回の記事では「ポジショニング戦略」と「その成功事例」について解説していきます。
ポジショニングが出来ていなければ、「お客さんから選んでもらう」ということが一気に難しくなってしまいます。
こんな人を、お客さんにしたくありませんよね?
反対に、ポジショニングが上手くできれば、「あなたにお願いしたいです!」と言ってくる”良いお客さん”を獲得することができます。
なので、今回の記事を参考に、ぜひ自分だけのポジションを築いていきましょう!
ポジショニング戦略とは?
ポジショニングとは、消費者の頭の中に商品を位置づけることだ。
(引用元:アル・ライズ、ジャック・トラウト著:ポジショニング戦略)
ポジショニング戦略とは、「見込客に『〇〇といえば△△』と思ってもらうための戦略」のことです。
別の言葉でいうと、「自分のサービス」を見込客に覚えてもらうための戦略になります。
分かりやすい例を挙げましょう。
これは”テーマパーク”という市場では「ディズニーランド」がNo.1ポジションを取れているということですね。
これは、”絶叫系のテーマパーク”という市場まで絞ると「富士急ハイランド」がNo.1ポジションを取れているということです。
ここまでをまとめると、ポジショニング戦略とは、「見込客に『〇〇といえば△△』と思ってもらうための戦略」のことです。
なぜポジショニング戦略が大事なのか?
ポジショニングをすることは非常に重要になりますが、これはなぜでしょうか?
その理由は、ポジショニングが出来ていなければ、見込客にメッセージが届かないからです。
というのも、情報が溢れかえっている現代では、たくさんの情報を伝えても、ザルに水を入れるのと同じで何も残らないんですね。
でも、ポジションを築くことができれば、人々の頭にこびりつきます。
分かりやすい例を挙げましょう。
恐らくほとんどの方が「栃木県の宇都宮」をイメージすると思います。
しかし、、、
実は2011年に「浜松市」に”餃子消費量1位”の座を奪われているんです。
そして、その後は、「宇都宮市」は、「浜松市」に負け越しているんですね。
(引用元:東洋経済オンライン)
それなのに関わらず、ほとんどの人が「餃子といえば、宇都宮だ!」と思っています。
これは「宇都宮市」が”餃子市場”でポジションを真っ先に獲得したからです。
後から浜松町が「私たちのほうが餃子の年間消費量が多いよ!」と10年近く言い続けていますが、未だにこのポジションは覆っていません。
このように一度、ポジションを築くことができれば、人々の頭にこびりつくので、ポジショニング戦略が大事になってくるんですね。
ポジショニング戦略の事例を10個を紹介!
ポジショニング戦略の成功事例について解説していきます。
ただ、一気に解説していても分かりにくいと思うので、以下の4つのポジショニングに関して、それぞれ事例を紹介していきます。
2. 「メリット・ベネフィット」をずらしたパターン
3. 「メソッド」をずらしたパターン
4. 「その他の要素」をずらしたパターン
それぞれ詳しく解説していきましょう!
ポジショニング戦略の事例1.
「ターゲット」をずらしたパターン
「ターゲット」をずらしてポジショニングを成功させた事例を3つ紹介します。
成功事例1. 「シーブリーズ」
「シーブリーズ」は「年代」をズラしたことによって売れるようになりました。
かつては「20代〜30代の海にいく男性」をターゲットとしておりましたが、売上が全く伸びませんでした。
そこで、ターゲットを「20代〜30代の海にいく男性」から、「10代の女子高生」へと変えてみたんですね。
すると「10代の女子高生が、普段遣いするでオードランド」というポジショニングを確立し、なんと売上が8倍に跳ね上がりました。
成功事例2. 「バルクオム」
「バルクオム」は「性別」をズラしたことにより、大ヒットしました。
「バルクオム」では、男性専用の美容市場にいち早く目をつけて、参入しました。その結果、2015年には1億円だった売上高は、2016年に6億円となり、 2017年には10億円を超えました。
その伸び率は、実に10倍以上です。
成功事例3. 「ラ・ファーファ」
「la farfa(ラ・ファーファ)」という”ぽっちゃり女性専用のファッション雑誌”は「サイズ」をズラしたことによって、売れています。
ファッション雑誌業界では、月に4万部売れれば大ヒットだと言われるなか、「ラ・ファーファ」は発売初月で10万部を突破しました。そして今でもコンスタントに月間8万部以上売れています。
ポジショニング戦略の事例2.
「メリット・ベネフィット」をずらしたパターン
「メリット・ベネフィット」をずらしてポジショニングを成功させた事例を3つ紹介します。
成功事例1. 「AKB48」
AKB48は「アイドルなのに会える」という強烈なメリットを提供したことによって、爆発的にファンを拡大していきました。
当時、アイドルといえば、テレビの向こう側の存在でしたが、「会えるアイドル」というポジションを取ったことで、大ヒットしました。
成功事例2. 「一人カラオケ専門店」
「一人で思う存分歌いたい!」という市場のニーズを満たすために、「一人カラオケ専門店」が生まれました。
普通のカラオケ店と違って、
このように「一人で気軽に入れて、楽しむことができる」というメリットを全面に打ち出したことで、大ヒットしました。
成功事例3. 「iphone」
Iphoneは、「シンプルさ」というメリットによって売れました。
かつてスマホ市場では、どの会社も「どれだけたくさん機能を付けられるか?」という土俵で戦っていました。
そんな中、iPhoneは「いかにシンプルで使いやすくするか?」ということにフォーカスし続けたんです。
まさにアップルの哲学である”Think Simple(シンプルに考える)”ですね。
その結果、圧倒的なポジショニングを確立し、日本でのシェア率は右肩あがりに伸びつづけ、現在はスマホユーザーの68%がiPhoneを使うようになりました。
ポジショニング戦略の事例3.
「メソッド」をずらしたパターン
「メソッド」をずらしてポジショニングを成功させた事例を紹介します。
ダイエット市場のポジショニング例
(軍隊式トレーニングでガッツリ運動する)
↓
▼腹筋ベルト
(お腹に巻くだけで、低周波が流れ、筋トレできる)
↓
▼骨盤矯正ダイエット
(骨盤を正しい位置にすることで痩せる)
↓
▼炭水化物ダイエット
(糖質制限によって、脂肪をへらす)
このように、ダイエット市場では「メソッド」をでポジショニングするケースが多いです。
これを読んでいるあなたも、「これまでと違うメゾットを打ち出せないか?」ということを考えてみてください。
ポジショニング戦略の事例4.
「その他の要素」をずらしたパターン
ポジショニングのとり方に正解はありません。
ここではより柔軟に考えてもらえるように、その他のポジショニング戦略について紹介します。
成功事例1. 「ハーゲンダッツ」
ハーゲンダッツは、「高価格」というポジショニングで上手くいっています。
「ハーゲンダッツ」の発売当時、「レディボーデン」という高級アイスクリームもありました。
しかし、「レディボーデン」は『高級アイスクリーム』というポジショニングを「ハーゲンダッツ」に奪われてしまったのです。
では、なぜ、「レディボーデン」はポジショニングに失敗してしまったかというと、駄菓子屋でも買うことができたからです。
たとえどんなに美味しいアイスだったとしても、駄菓子屋で買えると分かった瞬間、「高級アイス」という世界観が崩壊してしまいます。
これはロレックスの時計が、ドン・キホーテに陳列されているのと同じです。正規店で買うのと同じロレックスの時計を、同じ金額で売ったとしても、世界観が崩壊していれば、お客さんは買おうと思わないはずです。
このようにレディボーデンは「高級」という世界観を崩してしまったので、ハーゲンダッツに負けてしまったのです。
一方、ハーゲンダッツは取引先を「デパート・高級スーパー・直営店」のみに絞り「高級アイス」という世界観を守り続けた結果、高級アイスとしての不動のポジショニングを獲得することができました。
成功事例2. 「ユニクロ/トップバリュ」
トップバリューやユニクロは「低価格」というポジショニングをとって成功しています。
ただ、この低価格のポジショニングに関しては、小さい会社、個人事業主は絶対に行わないでください!
なぜなら、価格でお客さんを囲い込めば、自社よりも安く販売するライバルが出てきたら、お客さんが一瞬で流れていってしまうからです。
これは、「『お金持ちアピール』をして女性を口説いたが、「お金」が無くなった瞬間にフラレる」というのと全く同じ原理です。
また、低価格戦略は、資金力がある大手企業だからできることで、個人が同じような戦略をしてしまうと、疲弊してしまいます。
海外の一流マーケッターのダン・ケネディも「価格競争は真綿でゆっくりと首を締められるのと同じだ」と言っているように、「低価格」のポジショニングはやめておきましょう。
成功事例3. 「ワンダ モーニングショット」
「時間帯」を突いたポジショニング戦略の例として、「ワンダ モーニングショット」が挙げられます。
「朝に飲むコーヒーは、ワンダ・モーニングショット」というポジショニングを確立したことで、2017年には過去最高売上を達成しました。
例えば、忙しい時間の朝に、コーヒーを買おうとコンビニに行ったとしましょう。そこには、何十種類ものコーヒーが陳列していあるので、どれを選べばよいか迷いますよね?
そんなとき、CMで「朝に飲むコーヒーはワンダ・モーニングショット」と無意識に刷り込まれてれば、『朝』というだけで選ぶ理由になるんですね。
ポジショニング戦略とは?【まとめ】
ポジショニング戦略とは、「見込客に『〇〇といえば△△』と思ってもらうための戦略」のことです。
そして、ポジショニング戦略が大事な理由は、情報がたくさんある現代社会で、自分のサービスを覚えてもらいたいからでした。
じゃあ、具体的にどんな事例があるのかというと、以下のようになります。
┗シーブリーズ(年代)
┗バルクオム(性別)
┗ラ・ファーファ(サイズ)
2. 「メリット・ベネフィット」をずらしたパターン
┗AKB48(会えるアイドル)
┗一人カラオケ(一人で思う存分歌える)
┗iphone(シンプルさ)
3. 「メソッド」をずらしたパターン
┗ビリーズブートキャンプ→腹筋ベルト→骨盤矯正ダイエット→炭水化物ダイエット
4. 「その他の要素」をずらしたパターン
┗ハーゲンダッツ(高価格)
┗ユニクロ/トップバリュ(低価格)
┗ワンダ・モーニングショット(時間帯)
「自分のポジショニングを作りたい!」とちょっとでも思った方は、「ポジショニングの作り方とは?簡単5ステップでポジションをとる方法を解説!」という記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。