どうも、草場です。
今回は「ターゲティングとは│3つの成功事例と具体的な戦略を徹底解説!」というテーマでお話していきます。
ビジネスをやっている方はターゲティングという言葉を聞いたことはあるけど、「ターゲットの絞り方がよくわからない…」「ターゲットを絞れば売上が下がるんじゃないの?!」と疑問に思っている方も多いと思います。
そんな方は、今回の記事で徹底的に解説していきますので、ご安心ください。
このターゲティングが正しく出来るかどうかで、ビジネスの結果や結果を出すまでのスピードが大きく変わってきます。
実際に僕は色んな方のコンサルティングやWeb広告運用をさせていただいていますが、このターゲティングが上手くハマるだけで、売上が2倍、3倍に跳ね上がることも珍しくはありません。
で、今回ターゲティングについて解説する上で、とても良い例があります。
それが元お笑い芸人の「島田紳助さん」です。
紳助さんは「紳助・竜介」というお笑いコンビで一躍有名になり、1980年代前半の漫才ブームの火付け役になりました。
このお笑いコンビがブレイクした裏側には、紳助さんの「ターゲティング戦略」が非常に関わってきているので、ぜひ今回の記事を読んで理解してくださいね。
では、早速始めていきましょう!
■目次
ターゲティングとは│島田紳助に学ぶターゲットを絞る重要性
ターゲティングとは、「どの市場に参入するか選ぶこと」です。
別の言葉でいうと、「どんな人に向けてサービスを打ち出していくか、決めること」ですね。
分かりやすい例として、お笑い芸人の紳助さんが挙げられます。
かつて「紳助・竜介」というお笑いコンビを組んでおり、彼らは「ターゲティング戦略」によって、一気にブレイクしました。
(紳助さんの人格に関しては賛否両論あると思いますが、マーケティング視点で見るとかなり勉強になります)
紳助さんが漫才で舞台に上がり始めた時代。
その当時の漫才は「横山やすし・西川きよし」「オール阪神・巨人」を初めとして、大人から子供まで受け入れられる漫才が主流でした。
いわゆる正統派漫才ってやつですね。
初めは紳助さんも”正統派漫才”で勝負しようとしましたが、あまりのレベルの違いに、こう思ってしまいました。
「アカン。こいつらと真正面から勝負しても、負けてしまう…」と。
そこから、毎日劇場に通って、「どうしたら売れるのか?」ということを、研究し始めました。
来る日も来る日も劇場で、芸人とお客さんを観察する中で、紳助さんは『性別』や『年代』によって笑いのツボが違うということに気づきます。
そして「これからの『お笑い』は細分化される!」ということを確信したんですね。
そこで、紳助さんは20歳〜35歳までの男性にターゲットを絞り、お年寄りや若い女性客がウケるネタは一切やらないと決めました。
ようするに、20歳〜35歳までの男性以外は完全無視して、「20歳〜35歳までの男性にウケる漫才」を行ったわけです。
これこそ、まさに”ターゲティング”です。
ターゲットを「20歳〜35歳までの男性」だけに絞ったことにより、この客層から圧倒的な人気を得ました。
そして、コンビ結成からわずか1年でNHK上方漫才コンテストの優秀敢闘賞を受賞。
その評判は広がっていき、劇場の漫才だけでなく、テレビにも引っ張りだこになりました。
以下の図のように、特定の領域で1位を獲得したことによって、口コミや評判が徐々に広がっていったんですね。
もし仮に、紳助さんが「よし!全ターゲットにウケるための漫才をしよう!」と考えていたら、「その他大勢のお笑い芸人」の中で埋もれてしまっていたでしょう。
しかし、紳助さんは「20歳〜35歳までの男性」だけにターゲットを絞ったことにより、売れたんですね。
ターゲティングを行う”本当の理由”とは?
なぜターゲティンングをするのかというと、「ポジショニングをするため」です。
そして、このように思ってもらうためには、その市場でNo.1になる必要があります。
このポジショニングを行うために、市場を細分化して(セグメンテーション)、そこから参入する市場を選んで(ターゲティング)する必要があります。
これらを簡単にまとめると、以下のようになります。
この図を見れば分かるように、「ターゲティング」だけを理解しても意味がありません。
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングをセットで考える必要があります。
ちなみに、この3つを分析することは、それぞれの頭文字をとって、「STP分析」と言われています。
(▼関連記事:STP分析)
難しい言葉は覚えなくても大丈夫ですが、「市場を細分化して→選んで→ポジションを取る」という流れを理解するようにしましょう。
これは、以下のように、紳助さんの例で考えると、分かりやすいです。
紳助さんは、初めにお客さんを「年齢と性別によって”笑いのツボ”が違う」と気づきましたよね?
これは、「年齢と性別」でセグメンテーション(市場を細分化)していることになります。
そして、紳助さんは、「俺たちは20歳〜35歳までの男性を笑わす!」と決めました。
これがターゲティングですね。
そして、ポジショニング(見込客の頭の中にサービスを位置づける)するために、「ヤンキー漫才」という独自の漫才を編み出しました。
「ヤンキー漫才」とは、何なのかというと、
こういったことを徹底していました。
先輩芸人や世間から「君の漫才は邪道だから、止めなさい!」と注意されましたが、紳助さんは自分の信念を貫きとおし続けた結果、圧倒的なポジションを獲得することができたんですね。
このように、ポジショニング(見込客の頭の中にサービスを位置づける)するために、ターゲットを絞る必要があるんですね。
ちなみに、ポジショニングに関しては、「ポジショニング戦略で売上が10倍?分析手法と成功事例を解説!」で詳しく解説してあるので、是非読んでみてください。
ターゲティングをするということは、その他を捨てるということ
ターゲティングする(選ぶ)ということは、その他すべてを捨てるということです。
この理由はシンプルで、一貫性がなくなってしまうからです。
先程の紳助さんの例で考えると、分かりやすいです。
紳助さんは、ターゲットを20歳〜35歳までの男性に絞っていたので、つなぎを着てリーゼントにして、男性ウケする尖ったネタを行っていました。
でも、もし仮に、「女性」や「お年寄り」も笑わせようとしていたら、どうなっていたでしょう?
きっとつなぎも、リーゼントも止めていたはずです。そして、ネタも”尖ったネタ”ではなく、当たり障りのないネタになっていたはずです。
果たして、こんな状態で売れていたのでしょうか?
きっと売れませんよね。。。
紳助さんも以下のように言っています。
売れ出すと、劇場にキャーキャー女の子が来よんねん。これがじゃまやねんな。
こいつらが俺たちをダメにしていくから。
いっつも相方に言うててん。こいつらはキャーキャー言うてくれて俺たちを追いかけてくれて人気のあるような感じを作ってくれてると。こいつらは俺らにとってすっごい必要やと。すっごい必要な客やけどめちゃめちゃジャマやと。こいつらが俺らをダメにしよると。
なんでかって言うたら、こいつらを笑わすことは簡単やから、こいつらを笑わしにかかってまう。
こいつらを笑わしにかかった瞬間に俺たちは全て終わってまうと。
だから、テレビでもカメラの奥でコタツで見てる兄ちゃんがおもろいと思ってくれる感覚でやる。いつもそこに客はいないと、向こうにいんねやと。
(引用:紳竜の研究)
このように、ターゲットを絞るということは、それ以外を見ないということなんですね。
ターゲットを絞ると「お客さんが減る」の嘘
むしろ、正しくターゲットを絞れば、お客さんは減るどころか増えます。
なぜなら、ターゲットを絞れば絞るほど、鋭いメッセージを投げかけることができるからです。
これはラブレターを考えれば分かりやすいです。
日本中の女性をターゲットとして書いたラブレターはきっと誰の心にも刺さらないですよね? きっと当たり障りのないようなことを書いてしまっているはずです。
しかし、たった一人の女性に向けて書いたラブレターならどうでしょうか?
誰か一人のために書いたラブレターであれば、もし仮に違った人に渡したとしても、キュンとする人は一定数いるはずです。
他の例を挙げると、あなたが「ダイエットをしたいと思っている35歳の男性」だったとしましょう。
そうしたとき、以下の3人の中だと、誰にダイエットコーチをお願いしたいですか?
・・・
・・・
おそらく、ほとんどの方が③を選んだはずです。
このようにターゲットを絞ることで、「これは私のためのものだ!」と思ってくれる人の数が増えるので、結果的にお客さんは増えます。(以下の図を参照)
市場(マーケット)は「磁場」のようなものです。自分のサービスが「磁石」だとしたら、お客さんは「砂鉄」だとイメージしてみてください。
ターゲットを絞ることで、自社の磁力が強まります。そうすれば「遠くにある砂鉄」も「磁石」にバーっと集まってくるように、ターゲット以外のお客さんも集まってくるようになるのです。
先ほどの「紳助さん」も全く同じです。初めはターゲットを絞って、そこでNo.1の地位を築いたことによって、他のTVの仕事が一気に増えましたよね。
ようするに、ターゲットを絞るということは「お客さんを切り捨てる」のではなく、「磁力を強くする」ということなんですね。
なので、ターゲットは絞ったほうが良いんですね。
僕がオススメする「ターゲティングのやり方」とは?
ここでは、「どのターゲットを選べば良いか?」について解説していきます。
僕がオススメしている方法は「これまでのお客さんの特徴を書き出して、共通項を抜き出す」というやり方です。
なぜ、この方法がオススメかというと、「あなたのサービスを購入する可能性が高いターゲット」に絞ることができるからです。
例えば、あなたのクライアントに「購入前はどんなことに悩んでいたか?」「なぜ私を選んだか?」というアンケートを取ってみましょう。
僕のクライアントさんで「英語教室」をやっている方の例でいうと、以下のような共通点がありました。
そこで、ターゲットを「少人数で楽しく英語を学びたいと思っている子供」に絞りました。
そうしたことによってで、順調にお客さんの数を増やしていっています。
このようにターゲットを明確にして、絞ることで、「購入する可能性が高いお客さん」にメッセージを届けることができます。
ちなみに、アンケートを取るときは、より長くサービスを利用していて、より多くお金を使っている、”上客”の意見ほど参考にしましょう。
※関連記事
(4P分析/3C分析)
(ターゲティングの前に高単価市場を選ぼう)
ターゲティングの成功事例3選
ここからはターゲティングで成功した事例を3つ紹介していきます。
ターゲティングの成功事例1:日高屋
1つ目のターゲティングの成功事例は、飲食チェーンの「日高屋」が挙げられます。
そして、この「日高屋」の事例を話す上で欠かせないのが「幸楽苑」です。
「日高屋」と「幸楽苑」はどちらもラーメン1杯500円以下という低価格帯の飲食チェーンで、メニューの内容も似ていますが、この2つ経営状況は天国と地獄ほど違います。
以下のグラフを見て頂ければ分かりますが、日高屋の「営業利益率」は幸楽苑のなんと6倍以上になっているんです。
日高屋は創業から「売上」を順調に伸ばしており、20年以上先に創業した幸楽苑にもうすぐ追いつく程の勢いです。
では、なぜここまで大きな差が生まれているのでしょうか?
その答えは「日高屋」のターゲティングにありました。
「幸楽苑」はファミリー層を狙って地方に展開していきましたが、「日高屋」は創業当初からサラリーマンをターゲットとして、関東の都心部に展開していったんです。
都心部のサラリーマンをターゲットとした日高屋は、サラリーマンの「ちょい飲みしたい」という需要を上手く満たし、利益率の高いアルコールの販売を伸ばすことができました。
しかし、地方のファミリー層に向けて展開した「幸楽苑」はターゲティングは悪くなかったのですが、正しいポジショニングができず、利益を伸ばすことに苦しみました。
例えば日高屋と同じようにアルコールを販売しようと考えましたが、地方は車で来るお客さんが多いので上手くいきませんでした。
また駐車場も作る必要があったので固定費がかさんでしまい、利益率が日高屋に比べてかなり低くなってしまったのです。
このようにターゲットを絞るということも大事ですが、絞ってからどう戦略立てていくのか? ということも重要になってきます。
ターゲティングの成功事例2:反響率50%!ベルギー慈善団体
2つ目のターゲティングの成功事例は、ベルギー慈善団体「SOS Children Village」です。
この団体は、子供の人権を守るために活動していましたが、子供を保護する施設の老朽化が進み、修繕改築の必要が迫られていました。
そこで、この団体は新聞広告を使って、寄付を募ることにしたんですね。
この新聞広告のターゲットとなったのは、ベルギーを代表する6名の経営者です。ようするにたった6名の経営者のために向けた新聞広告が出されたのです。
これはどういうことかというと、新聞広告に6名の経営者の名前を名指しして、以下のように訴えました。
(画像出典:adforum.com)
“You are the 99%”(あなたはまだ99%です。)
これまで様々な偉業を成し遂げ社会に貢献してきましたが、あと1%足りません。
最後の1%、それは恵まれない子供たちに手を差し伸べることです。担当者までぜひお電話下さい!
(引用元:adgang.jp)
こちらの画像の一番上にはしっかりと6名の経営者の名前が書かれていますね!笑
この新聞広告を打ち出した結果、なんとこのターゲティングされた人のうち半数が、寄付をしてくれたんです。
中でもElectrabel社のCEOは、なんと3年間30万ユーロ(約4千200万円)もの額を寄付しました。
いかがでしょうか?
これはかなり極端な例ですが、ターゲットを絞れば反応率が上がるということが分かったはずです。
ターゲティングの成功事例3:ボロボロの学生食堂
3つ目の例はかなりローカルな事例です。
僕が通っていた大学の横には「平和堂」という学生食堂がありました。
400円くらいで、めちゃくちゃお腹一杯食べることができた、思い出のお店です。
この食堂は、お世辞にもキレイな店だとは言えないんですけど、いつも食堂は混み合っており、創業してから60年以上も営業し続けていました。
この食堂は「お金がない、食べ盛りの大学生」にターゲットを絞ったことによって、商売繁盛した良い例ですね。
ターゲットを絞れば、必然的に正しい優先順位を付けることができます。
例えば「お金がない、食べ盛りの大学生」にターゲットを絞っていれば、キレイな外観・店内にして1食700円とかにするくらいなら、汚くても1食400円の低価格で食べれる方が嬉しいだろうなと簡単にイメージすることができるはずです。
ようするにターゲットが明確であればあるほど、経営判断をミスりにくくなります。
この写真のように「平和堂」は決してキレイなお店ではありませんでしたが、上手くターゲッティングを行い、そのターゲットに対して正しいポジショニング戦略を行ったことで、60年も営業を続けることができています。
ターゲティング戦略についてのまとめ
では最後に「ターゲティングとは│3つの成功事例と具体的な戦略を徹底解説!」についてのまとめをしていきますね。
まず「ターゲティング(ターゲッティング)」とは、「どの顧客像に向けてサービスを打ち出していくか」決めること言います。
ターゲティングをすることで、自分の立ち位置が明確になるので、ライバルと差別化が上手くでき、ビジネスをスケールさせることができます。
で、ターゲティングだけを考えるのではなく、あくまでSTP分析の一部分ということを覚えておきましょう。
おさらいになりますが、STP分析とは、以下の3つの頭文字をとった戦略です。
→市場を切り分ける
→切り分けたセグメントを選ぶ
→ターゲット市場での立ち位置を決める
紳助さんが20歳〜35歳までの男性というターゲットを決めて、その後「ヤンキー漫才」というポジショニングを獲得したように、「ターゲティング戦略」と「ポジショニング戦略」はセットで考えるようにしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。